恋口の切りかた
「おひさちゃんのお父さんは、悪人だった……!」


負けては駄目だ……!

ここで負けたら、円士郎を救えない──。


その気持ちだけで、崩れそうな心を保とうとした。


「私は、七年前の大晦日に──」



刀は道具だが、つるぎは単なる道具ではなく『剣』──すなわち剣の道、剣術に通ずる。



名をもらった時の父上の言葉の意味を、しっかりと噛みしめた。


父上が私を受け入れて、褒めて、許してくれたのは──



「弟を殺された恨みで、おひさちゃんのお父さんを殺したんじゃない。

村人と自分の命を守るために、盗賊一味の悪人六人を斬った」



私はもう刀丸じゃない。


留玖だ。


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