恋口の切りかた
女の人は薙刀の長い柄の部分を使って私の刀を受け止め、

押し返されて再び間合いが開く。

「残念。懐に飛び込まれても弱点はないわ」


私は再び間合いを詰めて刀を繰り出して──

がっちりと刃同士が合わさった瞬間、


女の人が薙刀から片手を離した。


私の攻撃をそのまま横手に流すようにして、


女の人は彼女目がけて飛んできた「何か」を片手で受け止めた。


「毒手裏剣か」

女の人の白い手には、
人差し指と中指、中指と薬指の間に一本ずつ、器用に棒手裏剣が挟まっていた。


棒手裏剣?

これは──宗助?


私は彼を振り返った。

宗助は手裏剣を放った体勢のまま、女の人を睨んでいる。


素手で棒手裏剣を受け止めた女の人に視線を戻すと、

「減点」

白い顔が冷ややかに笑って、ぽいぽい、と手裏剣が投げ捨てられた。


「夜の闇に潜んで狙うならともかく、こんな昼日中、動きが丸見えの位置から打って来たんじゃあ、いくら雨音で風切り音がかき消されていても、視認して対処できるわよ?

しかも、そんな体で打った片手でつかみとれるような手裏剣なんて怖くないわ」


確かに、宗助は相当調子が悪そうだけれど、

それでも自分目がけて飛んできた手裏剣に、私と斬り結びながら片手で対応するなんて──


この女の人、やっぱりただ者じゃない。
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