恋口の切りかた
「六郎太の機嫌が悪くて、殺されるのではないかという暴力を受けた時──夜叉之助はいつも私を庇って……代わりに六郎太に殴られていました」


円士郎が目を見張って、

私も衝撃を受けて、夜叉之助を穴が空くほど眺めた。


「私は、夜叉之助から愛情を受けて育った……。

この世でたった一人、幼い私を守り続けてくれた彼のおかげで、人の情を知ることができた……」


冬馬は、泣いているような声で「けれど──」と続けた。


「彼には──夜叉之助には、守ってくれる者など……いなかったのです。

母親の記憶もなく、恐ろしい父親に怯えながら──誰からも人の情というものを注がれることなく育った……」


哀れな人間です……と、冬馬は喘ぎながらそう口にした。


「夜叉之助と刃を交える刹那……私は、彼と過ごした幼き日のことを──彼が守ってくれた日々のことを──

思い出してしまった……」

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