恋口の切りかた
俺は軽く周囲を見回し、雨の中に俺たち以外の人影がないことを確かめてから口を開いた。
「てめえはさっき、闇鴉の一味が壊滅寸前に陥った理由を、『上級武士の子供』を殺されて、武家の面目を保つための隠蔽だと言ったな。
そう思っていたからだ」
夜叉之助が眉根を寄せる。
「この国にはな、てめえよりも頭の切れる男がいるんだよ」
俺は金髪緑眼の年上の友人を思い描きながら笑った。
「てめえが陥れた気になっていた御家老様がな」
「……緋鮒の仙太か」
「さァな、そんな奴は知らねえよ。
俺が知っている男は、国と民を憂えて善政を行うれっきとした武士だ」
青文からは墓の中まで他言無用と言われているが──どうせ俺もこいつもこれから死ぬ身だ。
「てめえの親が殺された理由だ。最期にてめえにも教えてやるよ。
この国で十一年前、一味の下っ端が襲って殺した子供は──家督を継いで間もない当時の殿様だ」
「なに──?」
「てめえも見てきた今の殿様はな、死んだその殿様の身代わりに選ばれた『上級武士の子供』なんだよ。
十一年前に闇鴉の一味に襲われて死んだことになっている子供だ。つまり──」
夜叉之助が大きく目を見開いた。
「てめえが仲間に引き込んだと思いこんでいた──菊田水右衛門の実の子だよ」
「てめえはさっき、闇鴉の一味が壊滅寸前に陥った理由を、『上級武士の子供』を殺されて、武家の面目を保つための隠蔽だと言ったな。
そう思っていたからだ」
夜叉之助が眉根を寄せる。
「この国にはな、てめえよりも頭の切れる男がいるんだよ」
俺は金髪緑眼の年上の友人を思い描きながら笑った。
「てめえが陥れた気になっていた御家老様がな」
「……緋鮒の仙太か」
「さァな、そんな奴は知らねえよ。
俺が知っている男は、国と民を憂えて善政を行うれっきとした武士だ」
青文からは墓の中まで他言無用と言われているが──どうせ俺もこいつもこれから死ぬ身だ。
「てめえの親が殺された理由だ。最期にてめえにも教えてやるよ。
この国で十一年前、一味の下っ端が襲って殺した子供は──家督を継いで間もない当時の殿様だ」
「なに──?」
「てめえも見てきた今の殿様はな、死んだその殿様の身代わりに選ばれた『上級武士の子供』なんだよ。
十一年前に闇鴉の一味に襲われて死んだことになっている子供だ。つまり──」
夜叉之助が大きく目を見開いた。
「てめえが仲間に引き込んだと思いこんでいた──菊田水右衛門の実の子だよ」