恋口の切りかた
「エンと出会う前のことなんて、思い出せない……!」
留玖は泣き叫びながら合わせていた刃を引いて、
横薙ぎに転じた鋭い一撃を繰り出してきた。
肩に受けた傷のために俺が使えない左を狙った──本気の剣撃だ。
俺の頭の中は、彼女の行動が理解不能で混乱の極みにあった。
それでも、留玖との長年の稽古で培った動きで、俺は反射的に刀を運び、かろうじてその打ち込みをさばいた。
「私……私は……エンがいないこの世なんて、知らない。
そんな知らない世で生きていたくなんか、ない……!」
そう言って、
続けて留玖は信じがたい言葉を口にした。