恋口の切りかた
そりゃ、

確かに彼女は昔から
追いつめられると時々、こちらが考えもしない、とんでもない行動をとる奴だったけどよ……!


「ば……っ、何考えて──」


逃げ場を奪って相手を追いつめてゆくような、

こちらが一番さばきづらい場所を完璧に狙って次々と繰り出される鋭い彼女の剣を、俺は必死にかわし、受け止めて──


「だって、他にどうすればいいのか……わかんないんだもん……!」


刀を振るいながら、
泣きながら、

留玖は言った。


「私には……どうやったらエンを止められるのか……他に方法が思いつかないんだもん……!」


その言葉と姿とが、ぐらぐらと俺の決心を揺らす。



くそ……!

俺は舌を打った。

本気の留玖を相手に、片腕が使えない状態で手加減などしていたら──本当に腕をへし折られかねない。


マジで俺に切腹させねえ気かよ……!


彼女を退かせるには、
こちらも本気で彼女の刀を飛ばして、制圧するしかない。


まったく、最後の最後で
なんでこんなことになるのか──


武家の女の中にだって、こんな女はいねえぞ!


俺は内心苦笑しながら、

手の中で刀を返して、留玖を迎え撃つために頭を切り替えた。
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