恋口の切りかた
「私のこの名前は、晴蔵様にいただいた大切な名前ですけれど」
私はおずおずと言った。
トウ丸という名に、未練はないと思った。
でも。
名前が変わった時、うれしさとともに──
やはり悲しかったのだ。
「少し、りつ様のお気持ちはわかる気がします」
それはたぶん、
刀丸という名前に、
大好きな漣太郎からもらった「刀」という字が入っていたから……
……というだけの理由ではないのだと思う。
「留玖殿も、つらい思いをしたんでありんしたな」
と言って、
りつ様は優しい目で私を見た。
私はおずおずと言った。
トウ丸という名に、未練はないと思った。
でも。
名前が変わった時、うれしさとともに──
やはり悲しかったのだ。
「少し、りつ様のお気持ちはわかる気がします」
それはたぶん、
刀丸という名前に、
大好きな漣太郎からもらった「刀」という字が入っていたから……
……というだけの理由ではないのだと思う。
「留玖殿も、つらい思いをしたんでありんしたな」
と言って、
りつ様は優しい目で私を見た。