恋口の切りかた
「んー? 辛そうだな」

起き上がって黙ったまま座っていると、円士郎はそう言って顔を近づけてきた。


──えっ……な、なに!?

びっくりする私の額に、円士郎はおでこをくっつけた。


「確かにちょっと熱あるな。顔も赤いし」


顔が赤いのは熱のせいじゃないかもしれない……。

円士郎の整った顔が離れるのをぽーっと見送りながら、私は思った。


「ふーん、食べさせてやろうか?」

円士郎は、悪戯っぽく笑ってそんなことを言い出した。


「い……いいよ、自分で食べる」

「遠慮すんなって」

こういう時、円士郎は強引だ。
とっととお椀にお粥を注いで、お箸を自分で握ってお椀を私の口元に持ってきた。
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