恋口の切りかた
戦──か。

「たたかい」ではなく、迷わず「いくさ」と言い切った鬼之介の言葉は、なかなか耳に心地よかった。


単なる剣術勝負の場ではなく、こいつにとってここは戦場(いくさば)ってことか。


「かの織田上総介(*)も種子島(*)を戦でいかに用いるかを考えて戦績を上げた。
これを兵法と呼ばずして何と呼ぶのだ?
刀のみが武器にあらず! だ。

二階堂平法も、
そしてボクの発明も、
等しくボクの武芸の腕の一部!

──今の飛空撃賊震天雷砲は失敗に終わったが……ボクの未熟さ故だ。
これらをいかに使いこなすかが武芸の腕というものだ」


自分で失敗に終わったって言ってんじゃねえかよ!

雪まみれで凍えながら俺は胸の内で毒づいた。



とは言え──



へえ、と思う。

言ってる内容は滅茶苦茶だが、
こいつ、やっぱりただの変な奴じゃねえな。



鬼之助は頭を抱えている道場破り仲間たちに指を突きつけた。

「ボクがこいつらのこんな下らん道場破りにつき合ってやってるのも、発明品の──ボクの武芸の腕試しができると踏んだからだ」


成る程。

こいつ一人だけは──



ちゃんと「道場破り」をやっていた、というワケだ。



(*織田上総介:織田信長)
(*種子島:鉄砲。火縄銃)
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