恋口の切りかた
「とは言え、私個人としては、一概に切り捨てられるには『惜しい』考え方だという感想だ」

「惜しい、だと……?」


鬼之介は虹庵を睨んだ。


虹庵は複雑な笑みを湛えて、

「さて、円士郎。
君はどう思う? 彼の『武芸』を認めるか?
私は判定を行う者としてこの勝負を止めたが、
勝負を行う者たちの言い分は考慮したいと思うのだが」

動けない俺を見た。

何だよ、俺がどう答えるかもお見通しって表情じゃねえかよ。


俺はニヤッと笑う。

「認めるぜ」

大きく目を見開いた鬼之介に向かって、大きく溜息を吐く。

「話が長ェんだよ。
こっちは動けなくて寒くて死にそうだっつうのに!」


それから、俺は己の考えを語った鬼之介の様子を思い出した。


答えに辿り着いたと言っている割には、

何というか、その姿は──


「よォ、随分と必死そうじゃねェかよ」


藻掻いているように見えた。



「……ボクはいつでも全力だし本気だし必死だ」

「ふん、そうかよ。
虹庵先生はああ言ったが──
俺はお前の考え方、気に入ったぜ」


衝撃を受けた顔で、鬼之助はマジマジと俺を見つめた。


「発明とやらも面白ェしな」

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