恋口の切りかた
「な──ッ」

図書が信じがたい事態に遭遇した顔で一瞬ポカンとし、

「何故、避ける!?」

「いや、なんとなく……?」

秋山の言葉で、今度は見る見る顔面蒼白になって町奉行は怒り狂った。

「許さん!」

更に打ちかかるのを、
秋山は片腕にタカを乗せたまま器用にすいすいとかわす。

「いやちょっと、落ち着きましょうよ」

「やかましい!」

「髷がボサボサになってますけど」

「誰のせいだッ!」

なだめているつもりなのかもしれないが、
扇子を避けながら秋山が何か口にすればするほど、図書は逆上した。

と言うか、端から見ていると、ワザと逆なでする真似をしているとしか思えない。



しかしこの秋山隼人という鷹匠。

図書の動きは決して悪いものではないが、
それをかすらせもしないとは。



へえ──。


思わず俺の口元は笑みの形になる。


何だよ、

俺と同じくらいの若い侍もいるんじゃねえか。


それもこんな面白え奴が。
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