恋口の切りかた
「はあッ?」

「気味が悪いと言って近づかなかった仲間は難を逃れておるようですが」


な、なんだそりゃァ──?


「やや、連中かなり酔っておった者も多く、もちろんこんな与太話、奉行所としても鵜呑みにしたワケではありませんが……」




狐か。


狐……待てよ?

どこかで──



俺は思い出す。



そう言えば、あのとき……



最初の焼死者が出た現場で、俺が野次馬の中に見たものは──


狐の面を被った男だ。



これも何か関係が──あるのか?




「しかも駆けつけた町同心の話ではですな、仏さんはこう──青白い薄気味の悪い炎に包まれて燃えていたとかで、

同心の中にも、これはいよいよ狐火だと恐れる者も出る始末」


青白い炎……?

真昼の日差しの下で焼け死んだ喜三太の時は、普通の炎に思えたが。


あれから既に、焼死した者は
昼間二人、夜間三人に上っている。


「その狐の蕎麦屋ってのは、昼間死んだ者も立ち寄ってるのか?」

思いついて尋ねた俺の問いに、図書は首を横に振った。

「いえ、今のところ話に聞いた分では
夜に死んだ者だけです」


ふむ?

何が何だかわからないが──



聞けば聞くほど、怪異じみた話に思える事件だった。
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