恋口の切りかた
これは、やはり何としてもあいつに話が聞きたいところだ。

と、そう思っていたら、




その日のうちに、

長廊下での一件で御家老から呼び出しである、急ぎ奥の間に来られたしと告げられた。



「何の話かはわかるな?」

薄暗い奥の間で待ちかまえていた覆面家老は、開口一番そう言った。


無論、長廊下での一件など方便で──

話は、今城下を騒がせている怪死事件のことに違いなかった。


「こんな場所でする話なのか?」

俺は苦笑した。

仮にもここ、城の中だぞ?


「人払いしてあるとは言え──壁に耳あり、障子に目あり。
本来、ここですべき相談事ではありませんが……」

「外でできる話でもなし、俺が伊羽邸を訪れるのもマズいってか」


俺は、覆面の奥の目を見つめてやれやれと肩をすくめた。


相談事、か。


「あんたから俺に相談なんてな。
随分と余裕がないじゃねえか。
あんたの様子を見りゃ、聞くまでもないが──念のためだ」


俺は五年前、今の事件と全く同じと思われる手段で義兄たちを葬った男を、

ひた、と見据えた。


この怪事件には──


「あんたは関わってねえんだな?」

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