恋口の切りかた
「しかと見たな」と言い、伊羽はすぐさまその紙を
季節外れに置かれていた火鉢にくべて燃やした。


「これがその名称だ」

「って名称だけかよ。どういう手法だ?」

「それこそ、うかつに教えられるものではない。
知りたくば己で導け。

もっとも、後者の手法については──私も名称しか知らぬ」


後者──「月読」って書かれてたほうか?


「まだ完成していなかったのだ」


五年前の時点では……という意味だろうか。


「それがまさかこのように使われるとは──」

伊羽は覆面の下でぎりぎりと奥歯を噛んで鳴らし、

「作った者の話では、名は体を表すの如く、
この二つの名称は手法の内容を如実に示しているとのこと。

聡明なる貴殿ならば、如何なるものか導き出せると思いますがね」


ん?


「待てよ。作った者って……それがわかってんのか?」

「当たり前だ。私がその者に命じてやらせたのだからな」

「オイオイ、だったらそいつが一番怪しいんじゃねーかよ」


伊羽は低い笑いを漏らし、

懐からもう一枚の折り畳まれた紙を取り出して置いた。
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