恋口の切りかた
今、秋山に対して使ったのは

最近、留玖と開発した技で「村雨」とか勝手に名付けた剣だ。


斬りかかる直前までその気配を悟らせず、

つまり──打ちかかる呼吸、視線、構え、動き
──そういった「殺気」を気取らせずに、

自然な動作に紛れ込ませて完全に不意打ちを狙う剣である。


事実、今の俺の動きは、

本来危険察知能力に長けた野生動物であるタカにすらも、
危険を感じさせなかったようだが。



それを、難なくこの男は避けた。



……やっぱりな。


「秋山隼人、あんた──相当やるだろ」

脇差しを鞘に納める。


そんな俺を秋山は、
全身に警戒の色を滲ませたまま穴が空くほど眺めて、


「まさか今の、俺の腕を試すためにやったとか言うんじゃ──」

「おう、そうだが」

「あ……有り得ねーだろ、こいつ」


鷹匠はその場にしゃがみ込んだ。


「信じらんねー。馬鹿じゃねーのか? こっちが下出に出てりゃ、いい気になりやがってこのクソガキ……」


例の如くブツブツ文句を言う秋山隼人。

だから聞こえてるっつーの。


「別に下出に出なくていいぜ。
年も近いし、サシの時は敬語ナシで」

「はああ?」


秋山は思い切り眉間に皺を作って俺を見上げた。
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