恋口の切りかた
【剣】
円士郎がお城に行ってしまって、何だか寂しい気分で一日を過ごして
その日、帰ってきた円士郎は
大きな鳥を腕に乗せた知らない若い侍と一緒だった。
初めて間近に見たけれど、これがタカなんだそうだ。
「こいつは宇喜多道場の開現流免許で、秋山隼人だ」
と、円士郎が若い侍を紹介して、
「いやいや、そこは普通、『鷹匠の』って紹介するトコじゃね?」
細い目の青年はぶつくさと文句を言っていた。
鬼之介と同じくらいの齢かな?
流派の免許持ってるんだ……凄い!
とか私は思って
「えっと、こいつは俺の弟で……」
円士郎はニヤニヤしながら、
続けて男の格好をした私のことをそんな風に説明し──
──これまでにない、驚くべきことが起きた。
「ってか、弟じゃなくて妹だろ」
あっさりと秋山隼人はそう言って、私に
「結城のおつるぎ様ですよね? よろしく」
と微笑んだ。
ええ──!?
私と円士郎は驚愕する。
これまで、
円士郎に
父上、
冬馬、
風佳に、
鳥英、鬼之介……
遊水でさえ
私のことを初対面では男と勘違いしたのに。
一発で女の子だと思われたのって初めてなんじゃないかな。
「男か女かなんて、普通は見りゃわかるでしょ」
隼人はさも当然のようにそう言って、
私は嬉しくて
この人に対する好感度が一気に上がって、
「て……てめえも油断ならねえな」
円士郎は何やら焦った様子で隼人を睨んでいた。