恋口の切りかた
「何だ、その大金!?」

円士郎が目を見張った。

「ああ、この度の焼死が如何なるカラクリか、解き明かしていただくための支度金として俺からお渡ししたところで」

遊水はしれっとした口調でそんなことを言った。

「カラクリがわからないと、こちらとしても操りようがないんでね」

「つまりこりゃ──銀治郎のところから流れてきた金かよ」


円士郎は唖然とした表情を浮かべ、浮かれている鬼之介に「おい」と詰め寄った。


「てめえ、自分がどういう目的で利用されようとしてるのかわかってんのか!?」

「何がだ? ククク……ふははは! これだけ金子があれば当面は発明の費用を気にしなくていい、やったぞッ」

「…………」


円士郎は鬼之介に一瞬憐れみの視線を注いで、


「こいつを操るのは朝飯前みてえだな」

と溜息混じりに遊水に言った。


「ちょうど良かったぜ、遊水。
てめえにはここで聞いときたいことがあったんだ」

「俺が当たってた『カガチ』のことかい?」

遊水は煙管を優雅に吸いながら、


「どうやらね、こいつは『名』というまとまりを失ったせいで

『尾』が本体に取って代わろうと、反逆を始めたって構図のようだぜ」


そんな意味不明のことを言った。
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