恋口の切りかた
「狐の蕎麦屋に、『天照』と『月読』?」


話を聞いた鬼之介は顔をしかめた。


「貴様、その話を誰から聞いた?」

「そこは仕事上の秘密って奴だな」


円士郎は苦々しそうな顔でそう言った。

何かを感じ取ったのか、鬼之介もそれ以上は追求しなかった。


「『天照』って、神様の天照大神のこと?」

私は尋ねた。

「たぶんな」

「ふうん……」


天照大神はその名のとおり、
空を照らす太陽の女神様だ。

月読──が同様に月読尊のことだとすると、
こちらは夜の月の神様……。



……んん?



焼死事件では、
昼に死んだ者と夜に死んだ者とがいて、

その「手法」の名前が
天照と月読……

ってことは──



「ねえコレ、

昼間の焼死が『天照』で、
夜の焼死が『月読』って方法を使ってる、

ってことじゃないのかな?」
< 791 / 2,446 >

この作品をシェア

pagetop