恋口の切りかた
「おのれ……陽の光を使うというところまでは、いいセン行ってると思うのだがな」

鬼之介は頭をバリバリとかきむしって、うなった。


「確かに、太陽を使う方法なら、夜には使えないのも道理ではあるしな」

円士郎は頷いて、

黙ったまま煙管をふかしている遊水に「あんたのご意見は?」と尋ねた。


学者仕事はそちらに任せるぜと遊水は笑い、


「じゃあ、もう一つの──『月読』ってのは何だと思う?」


と言った。


「うおお、そうかまだそっちも残ってるんだな……」

鬼之介がクセっ毛がはねてボサボサになった頭を抱えた。

「青白い火か……それこそ蓑火(*)や狐火ではあるまいし、
話が本当ならば──花火の火薬には青い光を出して燃えるものもあるが……」

うんうん考え込む鬼之介に、遊水は一瞥をくれて

「こっちは大金払ってんだ。仕事はきっちりしてもらうぜ」

また寄ると言い残し、立ち去って行った。


円士郎も何かわかったら連絡を寄こせと言って、

虎鶫の銀治郎のところで話を聞くために、
この日はここで私たちも長屋を後にした。



(*蓑火:みのび。蓑虫とも言う。雨の日に蛍のような青い火が蓑につく怪現象)
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