恋口の切りかた
さっき帯を切った与力の動きもそうだが、
居合いの要領である。


「ほう」と、与力が俺の動きを見て目の色を変えた。

「ええええ円の旦那ァ……!」

あられもない姿にされた子分が、前を手で隠して抗議の叫びを上げた。

「誰が誰を斬り捨てるって?」

俺はニヤリと笑いを浮かべて──



納刀しかけていた刀を再び鞘走りさせ、

そのまま与力に斬りつけた。



金属音が響き渡る。



俺の不意打ちにも瞬時に対応した与力が繰り出してきた刀と

俺の刀が激しくぶつかり、


そのまま俺たちは刀を合わせて睨み合う。



「ふうん、あんたも結構な使い手だな」

「貴様……こんな真似をしてただで済むと思うのか」


刀を押し合いながらそんな会話を交わし、



下から別の鋼の輝きが割り込んだ。



キン、と俺と与力の合わさった刀を跳ね上げて、


留玖は、手にした大刀をそのまま与力の喉元に、

同時に片手で引き抜いた脇差しを俺の喉元に突きつける。



「ぬ──!?」

与力が驚愕の表情を浮かべ、


「駄目だよエン、お役人相手に喧嘩は」

留玖は俺がクラクラするような可愛い微笑みをこぼした。
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