恋口の切りかた
喉元に刃を突きつけられながらも
頬がゆるみそうになる自分に気づいて、
ああ、留玖になら簡単に殺されるんだろうな、
なんて頭の片隅で思って、
改めて自分の重症っぷりを思い知らされたような気がした。
留玖は刀を引いて納刀し、
ニコニコと
刀丸の時から変わらないあの笑顔を作って与力を見た。
「続けるなら、私がお相手しますけど」
大きな瞳の奥に、期待の色が潜んでいた。
できるならば次は自分がこの与力と斬り合いたい、という笑顔。
斬り合いが楽しくて楽しくて堪らない、という無邪気な笑顔。
単純に喧嘩の仲裁に入ったワケじゃねえのかよ、と俺は苦笑する。
「どうしますか?」
留玖にそう問われて、この与力は彼女の表情をどう受け取ったのか……
毒気を抜かれた顔で刀を納め、
「出直すか」と、小さく言った。
俺も刀を納める。
「あんた、名は?」
俺が訊くと、与力は険しい表情のままジロリと俺を睨み、
「神崎帯刀」
と名乗った。
カンザキタテワキさんね、と
俺はその「武士はかくあるべし」と言わんばかりの、硬派な風体の与力の名前を頭に刻んで、
「貴様らは何者だ?」
俺と留玖を見比べて、神崎帯刀が尋ねた。
「俺は結城円士郎だ」
名乗った瞬間、「ひえっ」と町同心たちの間から声が聞こえた。
頬がゆるみそうになる自分に気づいて、
ああ、留玖になら簡単に殺されるんだろうな、
なんて頭の片隅で思って、
改めて自分の重症っぷりを思い知らされたような気がした。
留玖は刀を引いて納刀し、
ニコニコと
刀丸の時から変わらないあの笑顔を作って与力を見た。
「続けるなら、私がお相手しますけど」
大きな瞳の奥に、期待の色が潜んでいた。
できるならば次は自分がこの与力と斬り合いたい、という笑顔。
斬り合いが楽しくて楽しくて堪らない、という無邪気な笑顔。
単純に喧嘩の仲裁に入ったワケじゃねえのかよ、と俺は苦笑する。
「どうしますか?」
留玖にそう問われて、この与力は彼女の表情をどう受け取ったのか……
毒気を抜かれた顔で刀を納め、
「出直すか」と、小さく言った。
俺も刀を納める。
「あんた、名は?」
俺が訊くと、与力は険しい表情のままジロリと俺を睨み、
「神崎帯刀」
と名乗った。
カンザキタテワキさんね、と
俺はその「武士はかくあるべし」と言わんばかりの、硬派な風体の与力の名前を頭に刻んで、
「貴様らは何者だ?」
俺と留玖を見比べて、神崎帯刀が尋ねた。
「俺は結城円士郎だ」
名乗った瞬間、「ひえっ」と町同心たちの間から声が聞こえた。