恋口の切りかた
「神崎様、マズいですよ」
「先法家の嫡男です」
青ざめた同心たちの様子とは裏腹に、神崎は落ち着き払って俺を眺めた。
「ほう。貴様が結城円士郎か。
噂どおりの問題児だな」
ひい、と神崎の発言を耳にした同心たちは悲鳴を漏らした。
神崎はびくつく同心たちに軽蔑の視線を送り、
「ふん、家名で喧嘩をしないという話も噂どおりのようだ」
遅い俺の名乗りに対してそんな風に言った。
それから鋭い目を留玖に向ける。
「そっちの少年は?」
……うむ、お馴染みの間違いだ。
この神崎は、秋山隼人とは違って、
男か女かを一目で見破る眼力は持ち合わせていないらしい。
「俺の弟の十兵衛だ」
ここはすっとぼけておいた。
「覚えておこう」
と、鷹揚に頷いて、町方与力は同心たちを伴い引き上げていった。
「おう、円の旦那におつるぎ様、
あのいけ好かねえ威張りくさった与力を追っ払ちまうたあ、さすがだな」
ちょうどそんな声がして、振り向くと
どこかに出かけていたのか、
子分連中に連れられて虎鶫の銀治郎が戻ってきたところだった。
「ちょっと聞きたいことがあって来たんだが」
俺は、相変わらず人の良さそうなオッサンにしか見えない貸元に言いながら、
先刻の子分連中の言葉を思い出していた。
「仲間を殺しやがった白輝血の奴ら」と、こいつらは言った。
これはまた、決めてかかったセリフだ。
何かそう思う決定的な理由があるってことらしいな、と俺は思う。
銀治郎は、「聞きたいこと、ですかイ」と
何のことか予想がついた様子で店の奥を示した。
「まあ、上がってってくだせえ」
「先法家の嫡男です」
青ざめた同心たちの様子とは裏腹に、神崎は落ち着き払って俺を眺めた。
「ほう。貴様が結城円士郎か。
噂どおりの問題児だな」
ひい、と神崎の発言を耳にした同心たちは悲鳴を漏らした。
神崎はびくつく同心たちに軽蔑の視線を送り、
「ふん、家名で喧嘩をしないという話も噂どおりのようだ」
遅い俺の名乗りに対してそんな風に言った。
それから鋭い目を留玖に向ける。
「そっちの少年は?」
……うむ、お馴染みの間違いだ。
この神崎は、秋山隼人とは違って、
男か女かを一目で見破る眼力は持ち合わせていないらしい。
「俺の弟の十兵衛だ」
ここはすっとぼけておいた。
「覚えておこう」
と、鷹揚に頷いて、町方与力は同心たちを伴い引き上げていった。
「おう、円の旦那におつるぎ様、
あのいけ好かねえ威張りくさった与力を追っ払ちまうたあ、さすがだな」
ちょうどそんな声がして、振り向くと
どこかに出かけていたのか、
子分連中に連れられて虎鶫の銀治郎が戻ってきたところだった。
「ちょっと聞きたいことがあって来たんだが」
俺は、相変わらず人の良さそうなオッサンにしか見えない貸元に言いながら、
先刻の子分連中の言葉を思い出していた。
「仲間を殺しやがった白輝血の奴ら」と、こいつらは言った。
これはまた、決めてかかったセリフだ。
何かそう思う決定的な理由があるってことらしいな、と俺は思う。
銀治郎は、「聞きたいこと、ですかイ」と
何のことか予想がついた様子で店の奥を示した。
「まあ、上がってってくだせえ」