恋口の切りかた
ヘビ!?


「『白輝血』は、平たく言やあ『白蛇』って意味になりやすかね」

貸元は手元の湯飲みをすすり、ふうと息を吐いた。

「円の旦那、おつるぎ様、あっしのこの『虎鶫』の別名を知ってやすか?」


トラツグミの別名というと……。


トラツグミというのは、夜に気味の悪い声で鳴く鳥の名前だ。


その鳴き声の不気味さから、あるバケモノの声だとも言われ──

平安の世から言い伝えられるそのバケモノの名前にもなった。


「確か、別名は鵺鳥(ぬえどり)ですよね」

と、留玖が言って、

「あ、鵺……?」

首を傾げた。


貸元は大きく頷いた。


「鵺と言やあ、頭は狒狒(ひひ)、体は狸、脚は虎、そして──」

「尾が蛇で、鳴き声が虎鶫の化け物」


俺は貸元の言葉を引き継いだ。


コトリ、と虎鶫の銀治郎は湯飲みを置く。


「あっしらはね、この世に現れた鵺の一部ってことなんでさ」

「つまり、『鵺の大親分』ってのは……」

「虎鶫も、白輝血も含めて、
ここら一帯の渡世人を仕切る、あっしらの影の大親分でさ」
< 804 / 2,446 >

この作品をシェア

pagetop