恋口の切りかた
「例の……長兄?」
円士郎が顔をしかめた。
悪さをしている円士郎は「例の」と呼ばれること自体は珍しくないが、結城家の長兄という言い方は何だか妙だった。
「紅傘……」
私は凄く嫌なものが体の中を這い回り始めたのを感じながら、
伝九郎が口にした──初めて耳にする単語を反芻した。
「おやおや、自分が斬った者の名も知らなかったのかな。
『紅傘』の一味はそれ、五年ほど前に白浪六人斬りでお嬢ちゃんが殺した連中のことよ」
伝九郎はやっぱりニヤニヤしたまま、そう言った。
「結城のおつるぎ様、お嬢ちゃんはわしらの世界じゃあ有名人なんだよ」
しらなみ……六人斬り。
しらなみ……
白浪って言うのは……
私は円士郎を見上げた。
「白浪って、なに?」
円士郎が、悲痛な──苦しそうな色を瞳に湛えて私を見下ろして、
低く囁いた。
「盗賊のことだ」
円士郎が顔をしかめた。
悪さをしている円士郎は「例の」と呼ばれること自体は珍しくないが、結城家の長兄という言い方は何だか妙だった。
「紅傘……」
私は凄く嫌なものが体の中を這い回り始めたのを感じながら、
伝九郎が口にした──初めて耳にする単語を反芻した。
「おやおや、自分が斬った者の名も知らなかったのかな。
『紅傘』の一味はそれ、五年ほど前に白浪六人斬りでお嬢ちゃんが殺した連中のことよ」
伝九郎はやっぱりニヤニヤしたまま、そう言った。
「結城のおつるぎ様、お嬢ちゃんはわしらの世界じゃあ有名人なんだよ」
しらなみ……六人斬り。
しらなみ……
白浪って言うのは……
私は円士郎を見上げた。
「白浪って、なに?」
円士郎が、悲痛な──苦しそうな色を瞳に湛えて私を見下ろして、
低く囁いた。
「盗賊のことだ」