恋口の切りかた
「貴様自身があの男の命で動いているならば──既にボクは断れる立場にはない。貴様からのこの話を正式な協力依頼と受け取るぞ」

「ああ、頼む。悪ィな」

鬼之介は忌々しそうに「ああああ!」とうなって頭をかきむしった。

「伊羽家にはただでさえ人質同然の中がいたと言うのに──貴様のうかつな真似のせいで今やボクの身まで……! 恨むぞ、結城円士郎」

「心配すんなって」


俺はケラケラと笑った。


「俺はあいつを信用してる。お前が心配するような冷酷な奴じゃねーよ」

「貴様は──」

鬼之介はパクパクと口を動かした。

「──やっぱり虹庵殿の言うとおりだッ! 一度信用した相手に対して心を許し過ぎだ」

「エンが信用してる人なら大丈夫だよ」

俺たちのやり取りを眺めていた留玖が口を開いた。

「留玖殿まで……!?」


「だって私はその人のことはよくわかんないけど、エンのことなら信じてるから」


急所を的確に撃ち抜いた留玖の言葉に、俺は再びその場で悶えそうになり、

「今すぐ殺したい……!」

鬼之介は、血走った目に殺気を込めて仕込み杖を握りしめたのだった。
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