恋口の切りかた
「裏の世界……」

それは。

「渡世人の世界よりも、もっと裏ってことだな」

「そうだ。渡世人の世界で言うならば、円士郎様が聞いたという鵺の大親分なる人物の話。その正体を突き止めることと等しい仕事だ」


鵺の大親分。


俺は伝九郎という用心棒が白浪についての話題を口にしたことを思い出す。


確か、銀治郎の話では、

鵺の大親分とやらも──ついでに「虎」の暗夜霧夜と、「狒狒」だという片目の女も──元々は盗賊だ。


伝九郎という男もひょっとして、何かその部分と関係があるのか?


「無論、時間をかければ徹底的に洗い出す自信はある。だが、この場合は──蛇の道は蛇ということもあるかもしれん」


宗助はそんなことを言い出した。

つまり──


「──遊水か」


そうだ、と宗助は首肯した。



「奴もまた、俺がいくら調べても何も出てこなかった人間だ」
< 890 / 2,446 >

この作品をシェア

pagetop