恋口の切りかた
俺が命じたわけではなかったが、鬼之介が遊水に対して過剰なまでの怯えを示した道場破り事件の直後、実は宗助の奴はこっそり遊水について調べて回っていたらしい。

尾行までしたらしいが、忍者である宗助が途中で見失うハメになり──彼がどこで金魚を育てているのかすら突き止められなかったという。

もっとも、一匹が三、四両もする魚の飼育場所を見つからぬように用心するのはある意味当然とも言えるのだが。


結局、一月ほどに渡る調査の末に判明したのは
この城下町に遊水と名乗る金髪緑眼の異国の風貌の男が現れるようになったのが約五年ほど前からであるということだけだった。

それより前のことについては杳として知れず、どこで何をしていたのかプッツリと糸が途切れているのだという。


もっとも、その後の調査に関しては俺がその必要はないとやめさせたから、宗助の腕でもっと調べていれば何か出てきたのかもしれないが。

ともかく、俺はあいつのことは友人だと思っている。

俺が知ることの他にもまだ──彼が何か隠していることはわかる。
だが本当に知る必要が出てきたならば、俺は友についてコソコソ調べ回るよりもその時に本人の口から聞きたいと思うワケだ。


「そうだな、その二人についてはそのうち遊水に聞いてみるぜ」

俺はそう言って、宗助には引き続き人形斎についての調査を頼むことにした。
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