恋口の切りかた
ただ、隼人がこの勝負を挑んできた時点で、何か私に勝てると踏んでいる狙いがあるのだろうなとは思った。

彼と私の違いと言えば、小太刀という特殊な長さの武器の違いと──男か女か、この違いだ。

そして私が女だからという理由を隼人が口にしていた以上、男女の違いに左右されるような勝負を仕掛けてくるのだろうと私は予想した。



実際、その予想どおりで──



何度か私の打ち込みが綺麗にさばかれ、間合いが詰まった瞬間、


彼は私の木刀をつかんだ。


真剣だったら有り得ない戦法ではあるが、この場合は至極有効だ。

隼人の片腕の力に対し、私は両腕だったけれど木刀は全くびくともしなくて、そのまま彼は私の体勢を崩しにかかり、

そうか、片手で十分に振るうことが可能な小太刀には、もう片方の手が自由に使えるという強みがあるんだと私が思った時には、


木刀を奪い取られ、力任せに道場の床に引きずり倒されて、

私は組み伏せられていた。


「わかるか!? あんたは女だ!」


私の上に乗って、体を押さえつけたまま、隼人は怒鳴った。


「いくら剣の腕が立とうが、こうやって押さえつけられたらどうしようもないだろうがッ」


私は何とか逃れようともがいたが、さすがにこの体勢になると力の差は歴然でどうにもならなかった。




「腕力では男に勝てねえんだよ!」




私の全身から力が抜けた。
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