恋口の切りかた
縁談!?


私は何て答えたらいいのかわからなくて、ますます顔が熱くなるのを感じながら下を向いてしまって、


「な──てめえ! 何言ってやがるんだ!」

円士郎が物凄く焦った声でわめいた。


「留玖に縁談なんかあるワケねえだろ!」

「は? ねえの!? こんなに可愛いのに……なんで?」


隼人がポカンとした様子で、また私のほっぺたが火照るようなセリフを口にした。


「なんでって……結城家は武芸の家だ! そこらの弱っちい連中に留玖を嫁がせるワケにはいかねーんだよ! 留玖に勝てるような男じゃねーと、殿様だろうがお上だろうが絶対に認めねえことになってるんだ!」

えっ?

円士郎がそんなことを言い出したので、私はびっくりしてしまった。
知らなかった。

「エン、私ってそういうことになってたの?」

「た……たった今そうなったんだよ! 俺がそう決めた!」

「おいおい、そりゃ無茶だって」

くっくっく……と、私と円士郎を眺めて隼人は肩を震わせて笑いを漏らした。

「ンなこと言ってたら、今この家中で候補になれる男なんかほとんどいねーだろ。まあ」

隼人はニヤリとして、

「今みたいな実戦勝負はともかく、普通の試合でなら──俺は一本とれる自信あるけどね」

「なななななな……」

円士郎が「な」を連発した。

「何ならこれからもう一本普通の勝負してみます?」

と、隼人は私にニッコリ微笑んだ。

「ええっと……でも、その……隼人さんには、奥様はいらっしゃらないんですか?」

確か隼人は二十三だと言っていた。既に奥さんをもらっていてもおかしくない歳だ。
そう考えて、私は大慌てで何とかそんな言葉を返したのだけれど、

「留玖、お前まで何言ってんだ──?」

円士郎が真っ青になった。
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