恋口の切りかた
同心ということは、足軽組に属する身分の者ということになる。

銀治郎の所で神崎ともめた時、あの場にいた役人の中に、そう言えばこの若い同心の顔もあったような気がするな。


「あんた、今の神崎って与力相手にも斬りつけてたのかよ……!」

城中で俺に斬りつけられた隼人は何やらドン引きして、

「城代家老とも初対面で悶着起こすし、出会った人間にことごとく喧嘩売るシュミでもあるのかアンタは!?
あークソ、やっぱりとんでもねー奴の下についちまった……」

などとうめいてその場にしゃがみ込んだ。


日向志津摩はそんな隼人にもキラキラした視線を注いだ。


「それに、開現流免許の秋山隼人様!
このたびはその剣の腕を見込まれてのご出世とか! おめでとうございます」


とことん前向きで真っ直ぐな、純真無垢といった言葉だった。

あははは、そりゃドーモ、と隼人が乾いた笑いで答えた。


年の頃なら俺や留玖と同じくらいなのではないかと思われる足軽の若者は、あどけなさの残る童顔に感涙でも流しそうな表情を滲ませて、ぐっと拳を握った。

「このような達人のお二方にお目にかかることができようとは──くうう! この志津摩、まさしく光栄の至りですッ!」


俺と隼人は思わず顔を見合わせて──
< 914 / 2,446 >

この作品をシェア

pagetop