恋口の切りかた
──のだが。



「クソ……! やっぱりそんなに上手くいかねェか」

俺は頭を抱えていた。

やはり問題は天照と月読の手法が完全に解明できていない点で、人間業ではないと言い切る白輝血の連中に対しては思い切った調べができない。


月読を調べている鳥英からは、書物を取り寄せるまで少し時間が要ると言われ、

天照を担当している鬼之介は、相変わらず火力が足りないとそればかりぼやいていた。


人形斎に関しては神崎に情報を渡して、奉行所の調査に任せてみることにしたものの──


白蚕糸のほうは、隼人と志津摩と共に再び乗り込んだところ、

「兵五郎一家からは、私に座興を頼みたいとしつこく言い寄られて断っていたのですよ」

などと、しゃあしゃあと取って付けたような説明をされた。

現状ではそう言われてしまえばそれまでで、これ以上突っ込んで聞こうにもやりようがなかった。


こうなってくると、遊水に話を聞きたいところだ。
しかし操り屋は、最近は鳥英のところにも姿を見せていない様子だった。


つまり奉行所と大差なく、こちらも調査はすぐに行き詰まってお手上げ状態になってしまったのだ。


連中が俺を直接狙ってくれば返り討ちにしてやろうなどとも考えていたが、四月に入ってからは怪死事件自体がパタリと起きなくなった。

ひょっとしてもう打ち止めということなのか?

ならば凶行を止めたいというあいつの願いはとりあえず達成されたことになる。
と言っても、事件自体はこのままだと迷宮入りになってしまいそうだった。


俺から赴くのはまずいだろうと思っていたが、ついに我慢できなくなって俺は自分から城代家老のもとに直接相談しに行ってしまい、また思い切り嫌がられたりして──


結局、四月は何も起きないまま城下は平穏を取り戻したかに見え、

再び事態が大きく動いたのは、梅雨にさしかかった初夏のある夜のことだった。
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