恋口の切りかた
俺の許嫁殿は、俺との縁談を嫌がって自害騒動を起こした後、しばらくは家から一歩も外に出してもらえなかったようだが──

季節が初夏に移ってようやく、大河余左衛門に連れられて結城家に顔を出した。


と言っても親父殿は江戸に行っていて不在だ。

つまり必然的に対応するのは、当主代理で俺になるわけである。


留玖のことで俺もこの婚儀を破談にしてくれと親父殿に頼んでいる手前、

「この度は円士郎様に対するこのような無礼、平に、平に、ご容赦を」

とか、

「真に申し訳ございませんでした。お怒りとは存じますがどうかお許しを」

などと座敷に頭を擦りつけて謝る二人を目にすると、


こう、チクチク縫い針で胸を突き刺されるような……


何とも後ろめたい気分だった。



その日は留玖や冬馬とも気まずそうに言葉を交わさないまま、風佳は帰って行って──



俺との仲はともかく、

せめて留玖と冬馬の二人とは元通りの関係にしてやりたいと思った俺は、そろそろ蒸し暑くなってくるこの季節にもぴったりの、ある妙案を思いついたのだった。
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