恋口の切りかた
部屋の中には中心に置かれた行灯を囲んで
遊水と鳥英、冬馬と風佳が並んでそれぞれ座り、鬼之介がやや離れて一人で座っていて──

──あれ?

聞かされていなかった意外な人物の顔を認めて、私は驚いた。

「宗助も?」

無表情なまま、部屋の隅の闇の中にひっそりと潜んでいたのは宗助だった。

「は。円士郎様の是非にとの命で」

「いやあ、こいつは仕事柄、色んな話知ってそうだろ?」

嬉しそうに言う円士郎の言葉を聞いて、彼が忍だということを知らない冬馬は「ああ、宗助は渡り中間で、ここに来るより前にも様々な土地にいたということでしたね」と納得したように頷いた。


こういう面白い話が好きそうな遊水あたりはともかく、

風佳との関係修復なら他の方法だってあると思うし、私にはこんな催しに冬馬までが乗り気だというのが信じられなかったのだけれど、


「兄上から、これは武士の度胸試しだ、逃げ出しては名折れと言われましたので」


冬馬は真面目にそう言った。
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