【短】涙が出るほど好きだった
「奏くん…好き。」
胸の中の言葉が口から出てしまう。
手で口を覆ってうつむいた。
「お前、ほんっとかわいいなぁ…。」
「奏君…。」
奏クンが優しい事知ってるよ。
強いことだって
頑張りやなことだって知ってる…。
でも
それ以上に
あたしのことなんか好きじゃないってことを知ってる。
なのに、あなたに触れるたびトクンとはねる心臓がとめる事ができません。
一度だって言われたことなんてない。
”好きだ”
なんて、
”愛してる”
だなんて…。
奏クンはあたしがいくら想っても、
振り向いてなんかくれない……。
「今日は委員会ないから一緒に帰ろうな。」
「…うん。」