【短】涙が出るほど好きだった
それでもいいっておもってた。
傍にいれればいいっておもってた。
でも
少しでも…
愛して欲しいよ……。
いつもの別れ道についた。
彼は笑顔で手を振る。
「ばいばい、奏くん……。」
ただ、それだけ。
あたし不安になってるのかな…
香織さんのことであせってる?
だからこんなこと思っちゃうのかな…。
だから分かってたはずのことわざわざ思い返しちゃうのかな。
___
「柚姫!」
「お兄ちゃん?」
「何?彼氏と一緒じゃないの?」
「ん、さっきまで一緒だったけど…。」
「なぁーに、しょぼくれてんだよ!なんかあったか?」
しょぼんとしている顔を見て、ほっぺたをつねる、
五つ上お兄ちゃん。
奏くんと違った不器用な優しさにあたしは何度助けられただろう。