【短】涙が出るほど好きだった
「なんにもないよ。」
「そっか…。じゃあお兄ちゃんとたこ焼き食い行く?」
「…行く。」
ぷーっと膨れた頬をつついたりつねったりしながらあたしに言う。
「ほれっ!お前専用!」
そういってピンク色したバイクのヘルメットを投げる。
「お兄ちゃん、怒られるよー。これ、彼女さんのじゃんー!」
「ちげーよ。柚姫のを彼女にかしてんの!」
「ほー。調子の良いヤツ。」
そういうとお兄ちゃんはベーっと言う顔をした。
あたしはおかしくて笑った。
でも、心の中にはもやもやが走っていた。
奏クンのことのもやもやが。