キラめく堕天使
 ザラザラすると思ったら、その表面にはキャッツアイがはめ込まれていた。

キャッツアイ。

猫目石と呼ばれる、その石はクリソベリルという鉱石の一種で光の加減で中央に光の帯が現われるグリーン系の石だ。

その淡いグリーンばかりを集めた小粒が手すりにはずらりと埋め込まれていたのだ。

 鳥肌が立った。

 丸く彫られた石がぶつぶつと並んでいるのだ。

 オレはぶつぶつしたものが苦手なのだ。

 ひーっとか思って手を離した。代わりに背もたれを掴んで、ぶら下がる。

「何をしている、早く上がれ」

 そんなことを言うんなら、階段くらい、せめて足がかりくらい作っとけよ。

 怒りを感じながら、椅子に這い上がった。

 座る部分はつるりとした金のみでほっとした。

 その代わり、背もたれには、ツボ刺激にちょうどいいほど、さまざまな形の色石がはめ込まれていた。

 オレは、その玉座に座った。

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