キラめく堕天使
名水を飲むような、微妙な甘みはある。

 その液体は舌を優しく撫でながらオレの身体におさまって行った。

 身体を、内側から、温めてゆく。

 そして、オレがうめくのを聞いた。

 えっ?

 自分が身をよじって苦しんでいる。

 でも、これはオレじゃない。

 としたら、苦しんでいるのは、オレの宿主であるフィックスか?

 オレは顎を上に上げて、頭を背もたれに倒すと、その口から、生暖かいものを垂れ流した。

 ごふっと咳き込む。

 喉を掻き毟った手に、血が付いていた。

 血?

 フィックスにも血が流れているのか。

 
< 108 / 212 >

この作品をシェア

pagetop