キラめく堕天使
けれど、悠長に感心している場合ではないんじゃないか。

 オレは今飲み込んだ液体を吐き出そうとしてみた。

 けれどそれはそんなものがあるんだとしたら、胃壁から、体内に吸収されてしまったように思える。

 しかも、自分と同じサイズの人間を食らうフィックスの胃だ。

脳みそを残して全て胃で出来ているのに違いない。

 身体中がお神酒を飲まされたときみたく熱くなった。

 そして、頭の中で、フィックスの叫びを聞いた気がした。

 オレは、やっと平静を取り戻した。

 身体が異様にだるい。

 顎を流れる吐シャ物が気持ち悪くて、無意識にぬぐうと、手に大量の血が付いた。

 大丈夫なんだろうか、オレ。

 ちょっと心配になった。

 けれど、ちょっとだるいだけで、大したダメージはないようだった。

「ほほう。ただのフィックスじゃないと思ったが。よし、これも飲め」

 ゴブリンがまたトレーを差し出した。

 今度は赤い杯を取った。

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