キラめく堕天使
 目の前にかざしてみた。

 赤黒く、静脈を流れる血のような色だ。

 その液体が、透明の杯を満たしている。

 飲んではいけない気が強くした。

 けれど、黄色くちばしに、喉元に槍を突きつけられた。

 っていうか、ちょっと突き刺さってる。

 このヤロウ。

 思いつつ、杯に口をつけた。

 ヒンヤリとした感触。

 唇にそれは触れると、その濃度の濃さを舌に押し付けて、身体に流れ込んだ。

 ほてっていた体が一気に冷やされた。

 そして、身体がおかしいことに気が付いた。

 動けない。

 杯を持つ手に力が入らなくて、それを落としてしまった。

 黄金の山の上を、まだ残っている液体をぶちまけながら、杯が転がる。

 杯を持っていた手が、だらりと垂れた。

 首も頭を支えていられなくて、のけぞるように背もたれにもたれた。

「これでいい。後でキレイなポーズで固めよう」

 黄色くちばしは言った。

「楽しみだねえ。我らゴブリンはキレイな物が大好きさ」

 
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