キラめく堕天使


「開くのか」

 拍子抜けした。

「でも、見て」

 オレは自由のいまいち利かない体を押して、壁に辿りつき、倒れこみながら、窓から半身を乗り出した。

 そして、眼下に広がる光景に、瞬間、体中の力が復活して、そこを飛びのいた。

 火事場のバカ力だろうか。

 下は、目もくらむ谷底だった。

 そこに吸い込まれそうになって慌てて、逃げた。

 そして、そこにへたっていると、

「これじゃあ、逃げられないでしょ?

それに、ドアから出れば、ゴブリンたちの大勢いる大広間を抜けなくちゃいけない」

 ということは、大広間というのは、先ほど通り抜けた、少し広まった空間のことか。
 
ふうん。
 
あれが大広間。

「見張りを置かないし、窓に鍵もかけないわけだ」

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