キラめく堕天使

 アメシスは呼吸が楽になって、ぐったりと大人しくなった。

 オレは彼女を片手に抱えたまま、岸に向かった。

 ところどころ、恐ろしい勢いで渦を巻いている。

 それに飲み込まれてはいけない。

 アメシスの頭を、水面より上に出すように。

そして、パニックに陥らせないように。

 オレはゆっくりと泳ぎさえすれば、何キロでも泳げるクチだ。

自称河童である。

 けれど、服を着たまま、流れのある川の中を、泳げない女の子を片手に泳ぐのはさすがにキツいようだ。

 身体は重いし、流れが岸へ向かうのを邪魔する。

 オレは自分が少々パニック気味になっているのを感じた。

 これでアメシスが暴れだしたら、手を離してしまうかもしれない。

 アメシスはオレを助けてくれたのに。

 オレは、自分の頭を殴ってやりたくなった。

 しっかりしろ。

 助けるんだ。

 そして、助かるんだ。

< 123 / 212 >

この作品をシェア

pagetop