キラめく堕天使

 オレは別の花に手を伸ばして取ろうとした。

「あ、駄目よ、ちゃんと断らないと、花が怒るわよ」

言われるのが少し遅かった。

 オレは花に無断で石をもぎ取ってしまった。

 花びらが一瞬にして棘を持ち、牙のようなその棘でオレに噛み付こうとした。

「わっ。ごめんね、勝手に取って」

 反射的に謝ると、オレの指を狙っていた花びらは口を閉じたまま大人しくなり、納得したのか、上向きに花びらを開くと、棘のない普通の花に戻った。

「驚いた。怒るんだ」

「そうよ。勝手に取られたら怒るわよ」

 当たり前のように言われて、オレは何だかおかしくて笑ってしまった。

「どうして?何で笑うの?」

 そう訊かれても、答えられない。

 ただ、人間界を基準に考えると、花に、むしり取ることをいちいちことわるのは何だか笑えるのだ。

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