キラめく堕天使

癒しの霧、かな?

 手のひらを、エレナの耳元に近づけてみた。

 球形をかたどっていた霧から細長く光が動いた。

それはエレナの両耳へ触れて行き、その血を流す傷口に吸い込まれていった。

と、霧が吸い込まれたところから、傷は塞がっていった。

すごい。

ボーッと見ていると、手のひらの上に残っていた霧がエレナの背中に流れていった。

傷を癒しているのだろう。

エレナの苦しそうな顔が和らいでいった。

紫色の霧は、その傷を癒すのに使い切ってしまったようだ。

手のひらには、もうなにも残っていなかった。

「ありがとう。楽になったわ」

 血を大量に失っているのか、顔色はやはり蒼い。

けれど、どうしていいのか分からなかった。

 
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