キラめく堕天使
 
それは、オレじゃなくても分かったようだった。

 エレナに近づき、抱きすくめた彼を、エレナは冷たく見下ろしていた。

「冗談じゃないわ」

 言うと、オレに目を向けた。

「殺っちゃってちょうだい」

 オレは手のひらの中を見た。

 赤い石。

 それを目にしただけで、身体に傷をつけて埋め込むシーンがオレの中で展開された。

 なるほどそうやって使うのか。

 けれど間の前にあるソニールの体は、わざわざ傷をつけるまでも無かった。

 無数の細かい傷のせいで服は裂け、その間から血を吐いている傷口が見えている。

 どの傷口を使おうか迷うほどだ。

 オレはエレナの目を見ながら、赤い石をソニールの肩の傷に押し込んだ。

 エレナの灰色の目が、深く澄んでキレイだった。

「滅」

 オレは唱えた。

「助けてくれ!エレ」

 叫びかけていたソニールは言葉を呑み、その姿を歪めた。

 耳元の琥珀色のピアスが、その揺れに合わせて、中央に白い光の線を描く。

 タイガーアイ。

 その石が、パリンと目の前で砕け散った。

 
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