グリンダムの王族
夜も更けた頃、赤毛の騎士ギルバードが1人で裏庭を歩いていた。
静かな裏庭には人気が無く、風によって木々の葉がすれあう音だけが響いている。
暗闇の中ゆっくり歩く彼の肩には大きな鷲が乗っている。
その足には、小さな筒が縛り付けてあった。

ギルバードは鷹の足に付けられた筒の中を確認すると、その鷲を腕に乗せて高く掲げた。
鷲はギルバードの意図を察したように、その大きな翼を羽ばたかせた。
そしてゆっくりと空へと舞い上がる。

ギルバードは空を見上げてそれを見送った。暗い夜空に鷲の姿はとんどん溶けていく。

「、、、すごいな」

不意に声をかけられ、ギルバードはハッとしたように振り返った。

そこには彼と同じように空を見上げながらゆっくり歩いてくる男の姿があった。
黒髪と黒い目、ギルバードと同じ近衛騎士隊に所属する騎士である。

「アラン、、、何してんだ」

ギルバートが問いかけると、アランは空を見ていた目を彼に向けた。

「居館に向かうところだ」

彼はそう答えると、「あれはお前の鷲なのか?」と聞いた。

ギルバードは頷いた。

「ゴードに居る恋人の所に手紙を届けるんだ。」

アランはちょっと意外そうに目を丸くした。

「へぇ、、、。ゴード王国に残して来ているのか」

ギルバートの住んでいたキスギル王国は今はゴード王国の領地となっている。
支配者の変わった国に恋人を残して来ているならば、きっと心配に違いない。

「王が変わって国も変わっただろう。
ゴードの王は、キスギルの王とはずいぶん違う。住みにくくなっただろうな」

アランは言いながらまた空を見た。
鷲の姿はもうどこにも無い。

< 107 / 265 >

この作品をシェア

pagetop