グリンダムの王族
外はすっかり日が暮れていた。燭台の火に照らされた廊下を走り、リズは自分の部屋へとたどり着いた。

沢山走って息が上がる。
部屋を見張る兵士がリズに気付いて、ハッとしたような顔になった。

「あの、、、」

リズは兵士の前で足を止めると、息を整えつつ「カイン様は、、、」と問いかけた。

「部屋でお待ちになっておられます」

間に合わなかった。リズは”やってしまった”というように眉を下げた。

兵士がリズの部屋の扉を開いてくれる。
リズは恐る恐る部屋に入って行った。背中でまた重厚な扉がゆっくり閉じられた。

部屋に入って、いきなりカインを見つけた。
思わず足を止める。彼は奥にある長椅子に長い脚を組んでゆったり座っていた。
お酒が入っているであろうグラスを片手に、膝の上の本をめくっている。
その目がふとリズを見る。

リズは固まって立ち尽くした。

「おかえり」

カインが無表情で言った。

「すみませんでした、、、」

リズは慌てて謝った。
カインは何も言わずにまた本に目を落とした。
何も反応してくれない。
分かりやすく不機嫌な様子に、リズは困り果てて彼を見ていた。

少しの間迷っていたが、やがてリズはゆっくりとカインの座る長椅子に近寄り、彼の隣に座った。
カインはリズを見ようとはしない。

「あの、、、」

リズは恐る恐る話しかけた。
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