グリンダムの王族
「パンを作るのに、夢中になっていて、、、。
すみませんでした、、、」

リズはそう言ってペコリと頭を下げた。

「俺はパン以下か」

カインの言葉にリズは慌てて「そんなことないです!!」と声をあげた。

「ふぅん」

カインはそう言うと、「じゃぁ、パンよりは好きだと?」と聞いた。

リズは目を丸くした。なんと答えていいのか分からずに固まる。
何も言わないリズに、カインは目を本に向けたまま「やっぱりパン以下だ」と呟いた。

「いえ、あの、、、」

リズは動揺しつつ言葉を切ると、少し考えてから、

「、、、パンと、、、
比べたことはなくて、、、」

と困ったように言った。

カインはその言葉に、我慢できずに吹き出した。
リズはそんなカインを呆然と見ている。
カインは「そりゃそうだ」と言うと、また楽しそうに笑った。

リズはカインが怒っていないことを確認し、ほっと安堵の吐息を漏らした。

「パン、やっと焼いてんだ」

カインが言った。
リズはこっくり頷くと、「最近焼いてます。たまに夕食に出して頂いてます」と言って微笑んだ。

「楽しい?」

カインが聞いた。
リズは微笑みながら、また頷いた。その笑顔にカインも穏やかな笑みを返した。

そして持っていた本を閉じると、目の前の机の上に置いた。
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