グリンダムの王族
「それはいいけど、侍女が慌ててたぜ。俺に怒られると思って」

リズはハッとしたように固まる。

「私がいけないんです。ちゃんと呼びに来てくださったのに、、、」

「分かってる」

カインはそう言ってリズの片方のお下げを掴むと、「自重しなさい」と言ってそれを軽く引っぱりながら顔を寄せた。

唇が触れ合って、リズはそっと目を閉じた。

厨房で働くようになってから、カインが部屋に来る頻度は減っていた。
夢中で仕事をするリズをできるだけ放っておいてくれていることを感じ、リズは有難く思っていた。

今日のようにたまに現れても、お酒を飲みながら少しお話して去っていく。
リズが以前”男の人が怖い”と言ったのを気遣ってくれてか、リズの体に無理に触れるようなことはしない。

それもやはり、有難かった。

唇が離れると、カインの腕がリズを抱き寄せる。
リズはされるがまま、その広い胸に顔を埋めた。

「明日ファラントに発つ予定だ」

耳元で聞こえる声に、リズは目を閉じたまま「お気をつけて、、、」と言った。

「邪魔者は消えるから、パンと仲良くしてな」

カインが冗談混じりに言う。リズはクスッと笑うと、「はい」と応える。

「”はい”じゃない」

「あ、すみません」

カインも笑う。そしてふと見つめ合うと、また唇を重ね合わせた。

それは徐々に激しさを増し、やがてカインの舌がリズの舌を絡め取る。
そんな口付けにも、もう抵抗を感じない。
それはリズにとってものすごい成長だった。

むしろ最近では口付けが深くなるにつれて、頭がぼぉっとしてくる。
そんな感覚が、なんだか心地よい。

唇を解放されると、リズは溜めていた息をはぁっと漏らした。

< 122 / 265 >

この作品をシェア

pagetop