グリンダムの王族
「カイン様、、、」

リズが囁いた。「もう、怖くないです、、、」

カインは何も言わない。リズは目を閉じたまま、また口を開いた。

「カイン様のことは、怖くないです、、、」

少しの間をおいて、カインが「よく分からないけど、、、」と言った。

伝わらないらしい。
なんて言えばいいだろう。
そんなことを考えていると、不意にカインの腕が膝の下に入る。
軽く抱き上げられ、リズは思わず小さな悲鳴を上げた。

その目がカインと合うと、彼はニッと笑みを浮かべた。

「抱いていいって言ってるの?」

リズの頬が急激に熱くなる。
それを隠すように慌ててカインの首に腕をまわすと、ぎゅっと抱きついた。

「、、、いいんだ」

カインは独り言のように呟くと、寝台へと歩き出した。
リズはハッとして顔を上げた。

「あ、セイラさんが、、、!」

着替えを取りに行った自分の侍女の存在を思い出す。

「退がらせたよ」

カインが軽く応える。
そして目を丸くするリズを、そっと寝台に降ろした。

「あ、、、待って下さい、、、!」

背中に柔らい寝具の感触が伝わり、リズは慌てて言った。「まだ湯浴みが、、、」

「後で」

「あ、後で、、、?!」

「後で一緒に連れて行ってあげるよ」

「え、だ、だめですそんな!!」

リズは慌てて体を起こしたが、覆いかぶさるカインの手に肩を押され、またあっさりと寝台に沈められた。

自分を覗き込む瞳が、甘く揺らめく。

「、、、もう観念しなさい」

囁く声は、言葉と裏腹に優しく耳に響く。
奪われるように力が抜けていく。

カインの唇が近づくのを感じながら、リズはまるで操られるように「はい、、、」と応えていた。

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